
毎年100人近くが、雪かきや雪下ろしの作業中に命を落としています。
「自分は大丈夫」と思っていた人が、いつもと同じ場所で、
いつもと同じ作業をしているときに、事故は起きています。
その原因は「不注意」や「油断」といった単純な言葉では片付けられません。
寒さ、疲労、判断力の低下、そして冬でも起きる雷という、
いくつもの見えないリスクが重なり合って起こるのが雪かき事故の本質です。
この記事では、雪かきという日常行動の中に潜む危険と、
その中でも特に見落とされがちな「冬の雷」について考えていきます。
雪かき事故は「特殊な人」が起こしているわけではない
総務省消防庁のデータによると、令和2年冬期(2020年11月〜2021年4月)の雪害による死者は110人。
そのうち86%が「屋根の雪下ろし等、除雪作業中」の事故でした。
これは特別な年の話ではありません。
過去10年間を見ても、毎年100人前後が雪による事故で命を落としており、
その大半が日常的な除雪作業中に起きています。

事故に遭うのは、雪に不慣れな人ではありません。むしろ逆です。
毎年雪かきをしている人。何十年も同じ屋根に登ってきた人。
「今年も大丈夫だろう」と思える経験がある人ほど、事故に遭いやすいのです。
国土交通省の調査では、事故の背景に「慣れ・過信・慣習」があることが明らかになっています。
つまり、事故は「経験がないから」ではなく、「経験があるから油断する」ことで起きているのです。
事故の正体は「環境 × 身体 × 判断力」
雪かき事故は、突然起きるものではありません。
いくつかの要因が重なり合って、少しずつ危険な状態が作られていきます。
環境のリスク
- 寒さによる身体の硬直
- 雪で滑りやすい足場
- 天候の急変(気温上昇、雨、雷)
身体のリスク
- 作業による疲労の蓄積
- 冷えによる筋肉の動きの悪化
- 心拍数・血圧の上昇(心筋梗塞のリスク)
判断のリスク
- 「もう少しだけやろう」という先延ばし
- 「雷は冬だから大丈夫」という思い込み
- 「今やめたら面倒」という継続バイアス

例えばこれは、フライパンで料理をしているときに似ています。
最初は火加減をちゃんと見ているけれど、
「あと少しで焦げる」というタイミングで電話がかかってきたり、
別の作業に気を取られたりすると、一気に焦げてしまいます。
雪かきも同じです。環境・身体・判断というフライパンの温度が、
じわじわと危険ラインまで上がっていきます。
そして「あと少し」と思ったタイミングで、事故が起きるのです。
冬の雷は「事故要因として意識されていない」
雪かき中の事故というと、「転落」「落雪」「除雪機への巻き込まれ」といったものが思い浮かびます。
しかし、もう一つ見落とされがちなリスクがあります。
冬の雷です。
「雷は夏のもの」と思っている人は多いでしょう。
しかし実際には、日本海側では10月〜3月にかけて雷が多発します。
気象庁のデータによると、金沢や富山といった日本海側の都市では、
冬の雷日数が夏と同等、あるいはそれ以上に達します。

そして冬の雷は、夏の雷とは性質が全く異なります。
- エネルギーが夏の100倍以上になることがある
- 昼夜を問わず発生する(夏は午後〜夕方に集中)
- 移動速度が速い(30〜50km/h)
- 低い雲から発生するため、高い構造物に集中的に落雷する

つまり、冬の雷は「気づいたときにはもう遅い」状況を作り出しやすいのです。
そして何より問題なのは、冬の雷を想定していない人が多いということです。
雷注意報が出ていても、「冬だから大丈夫」と思って雪かきを続けてしまう。
これが危険なのです。
なぜ雪かき中は雷に気づきにくいのか
「雷が鳴ったら気づくでしょ?」と思うかもしれません。
しかし、雪かき中は雷に気づきにくい状況が揃っています。
1. 雪が音を吸収する
雪は音を吸収する性質があります。積雪があると、遠くの雷鳴が聞こえにくくなります。
2. 帽子・フードで聴覚が遮られる
寒さ対策で耳を覆っていると、雷の音が聞こえにくくなります。
3. 視線が足元に集中する
雪かきは足元を見ながらの作業です。空の変化に気づきにくくなります。
4. 作業に没頭する
「あとこれだけ」と思うと、周囲の変化への注意が散漫になります。
5. 「冬は雷が来ない」という思い込み
そもそも雷を警戒していなければ、兆候があっても見逃してしまいます。
これは、イヤホンをして街を歩いているときに似ています。
後ろから自転車が来ていても、音楽に夢中で気づきません。
雪かき中も、作業に集中しすぎて危険の兆候を見逃してしまうのです。
雪かき事故の本当の怖さは「中断できないこと」
雪かき事故で最も恐ろしいのは、一度作業を始めると途中でやめにくいという心理です。
- 「もう少しで終わる」
- 「中断したら、また最初からやり直しになる」
- 「明日はもっと雪が積もるかもしれない」
こうした思考が、危険な状況でも作業を続けさせてしまいます。
そこに雷が加わると、さらに危険度が増します。
雷の兆候から落雷までが早い
冬の雷は移動速度が30〜50km/hと速く、兆候が出てから接近するまでの時間が短いのです。
中断が遅れると逃げ場がない
雪かき中は屋外で、しかも金属製のスコップやショベルを持っていることが多く、
雷にとって格好の標的となります。
屋内への避難に時間がかかる
雪かきをしている場所から建物まで距離がある場合、避難に時間がかかります。
その間に雷に遭うリスクが高まります。
気象庁のデータによると、雷による直撃雷の死亡率は約8割。
雷鳴が聞こえてから避難したのでは、間に合わない可能性があります。
だからこそ、雪かきは途中でやめていいという判断が重要なのです。

必要なのは「正解の行動」より「早い判断」
雪かきに完璧な安全対策はありません。
どれだけ装備を整えても、どれだけ経験があっても、事故のリスクをゼロにすることはできません。
重要なのは、以下の3つです。
1. 事前に情報を知る
作業前に必ず天気予報と雷注意報を確認します。
気象庁の「雷ナウキャスト」では、1時間先までの雷の予測を10分ごとに更新しています。
「雷を伴う」「大気の状態が不安定」といった言葉が天気予報に含まれていたら、雷のリスクがあるということです。
2. 危険を察知する
雷注意報は、雷のリスクが高まっているという最大級の注意喚起です(雷警報は存在しません)。
雷注意報が出ている日は、作業を控えるか、短時間で終わらせる計画を立てます。
3. 早めに中断する
「あと少し」という判断を捨てることです。
雷鳴が聞こえたら、すぐに作業を中止して屋内に避難します。
20分以上雷の活動が止んでから、必要であれば作業を再開します。
雷は、事故を引き起こすトリガーの一つです。
転落、落雪、除雪機への巻き込まれと同じように、想定しておくべきリスクなのです。
安全とは、作業を終わらせることではなく無事に戻ること

雪かきで一番危険なのは、無理を続ける判断です。
冬の雷は、気づきにくいからこそ想定しておくべきリスクです。
「今日は雷注意報が出ているから、少しだけにしよう」 「雷鳴が聞こえたから、今日はここまで」
こうした判断こそが、安全な雪かきにつながります。
安全とは、作業を終わらせることではありません。
無事に戻ることです。
雷検知器「雷報」で身の安全を守る
雷報とは
雷報(Li-Ho)は、長野県松本市のシナノカメラ工業が開発した携帯型雷検知器です。
雷が発生する際に放出される電磁波を検知し、雷の接近を音でお知らせします。
雷報の主な特徴
- 検知範囲:20~60km圏内の雷を検知(2段階設定可能)
- コンパクト:W45×D21×H98.7mm、重量68g(電池除く)
- 長時間稼働:単4電池1本で約6ヶ月使用可能
- 簡単操作:スイッチを入れるだけで使用開始
ポケットやバッグに入れておくだけで、雷の接近を早期に察知できるため、安全な場所への避難に余裕を持って行動できます。
雷報の購入方法
雷報はAmazonや楽天市場などのオンラインショップで購入できます。
また、公式サイトからも詳細情報をご確認いただけます。
公式サイト:https://www.sinakame.co.jp/li-ho/


